山形県中山町に位置する文化財「旧柏倉家住宅」。
町への寄贈を機に整備と一般公開への準備が行われました。重要文化財に指定されたこともあり、旧柏倉家住宅をどのように見せていくかということを改めて協議。旧柏倉家住宅の魅力を現代に合わせた形で伝えやすいかたちに整え直していくことが必要と考えました。
1. ロゴ

柏倉家一族の建造物の中でも共通して特徴を持ち、文化財としても高く評価されている「蔵」のかたちをベースとしています。九左衛門という家を今日まで支えてきた特徴的な要素を三本のラインと色で表し、その基盤の上に九左衛門という家が成り立っていることを表しました。上部には一族の家紋の「丸にカタバミ」を組み込みました。
周辺に位置する分家などでも基本形を共通し、展開して使えるようデザインしています。
2. ポスター、フライヤー

九左衛門の魅力は、空間構成など、流れとして体感するところが多く、何か一つ特徴的なものがある施設とは異なります。そのため一つを限定してヴィジュアル化するのではなく、あえて要素だけをみせることで「どんなところなんだろう」と思わせるものにしたいと考えました。
ロゴで用いた「家を支えてきた要素を三本のラインと色で表す」という構成を全面に出し、色を実際の写真を用いて表現しました。
3. 入館チケット

チケットは一般、子供、優待の3種。ロゴなどにも用いているコーポレートカラーを使用しています。コーポレートカラーは日本の伝統的な和色をベースに設定しています。
4. パンフレット

現地で見聞きしてこそ感じられる魅力を楽しんでほしいという気持ちから、九左衛門ではガイドツアーを見学の要としています。パンフレットはあくまでガイドツアーの補助と位置づけ、細かい説明は載せず、マップや禁止事項など最低限の情報に留めました文化財を守る心を感じてほしいという意図から禁止事項もなぜ禁止しているのかを伝える文章にしています。
5. 順路案内板

公開していく中で順路を変更する可能性があるということで、対応できる形状にしました。外の枠組みは大人一人で持ち運べる程度の大きさや重さ。中のプレート部分はボルトで取り外しや交換ができるようになっています。建物や里山の風景を邪魔しすぎない、黒塀と統一感のある黒色で製作しました。
制作・設計には中山町内の長崎健鉄さん、タカハシ看板さんにご協力いただきました。
6. キャプション

九左衛門の施設内は全体的に湿度が高く、パネルや通常の紙では長期に設置するには向かないという問題がありました。また、文化財施設であるため壁に穴を開けたり新たにレールなどを通すのも難しい状況です。地震などがあったときに転倒などにより建物に損傷を与えないという条件もありました。
公開している座敷に100年近く昔から残っている障子があることにヒントを得て、和紙を使用し、順路案内と同様いつでも変更できるように、施設内で伐採される黒竹を用いて掛軸の形状のものを製作しました。

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